【春植え】基本のジャガイモ栽培/簡単・おいしい・達成感◎

家庭菜園

ジャガイモ栽培はとても簡単。基本的には種イモを植えて土寄せをしながら収穫を待つだけ。土いじりをしている感覚がファーマー気分を誘い、収穫期には大きな達成感があります。もちろん、お子さんとの芋掘り大会なんて盛り上がること間違いなし!掘ってみないとわからないワクワク感を家族で味わうのもいいですね。ジャガイモはフライドポテトやカレーなどお子さんが喜ぶ料理が多いので、お父さんのジャガイモ入りカレーなんてふるまえば喜んで食べてくれることでしょう!家族の負担を減らすことにもつながりますよ!北海道の涼しくカラッとした気候はジャガイモ栽培に最適。甘くてホクホク感のあるおいしいジャガイモができます。保存もできますので重宝される野菜です。前回のミニトマトに続き、北海道で家庭菜園を続ける筆者が、ジャガイモの育て方をわかりやすく紹介します!

収穫されたジャガイモ
フライドポテトは子供が喜ぶ代表的な料理

ジャガイモ栽培は、

  • 気候が安定している春植えが育てやすい
  • おすすめ品種は男爵・メークイン、北海道ならトウヤ
  • 畝(うね)幅1m、高さ30cm、マルチ使用もOK
  • 種イモは芽を上にして植える
  • 収穫は葉が枯れて晴れの続いた日
  • 収穫後は乾燥させ風通しのよい日陰で保管

日本でのジャガイモ栽培は春植えと秋植えができる野菜です。しかし、青森県や北海道など冬期間に霜や雪の降る地域においては秋植えはできません。筆者は北海道で野菜作りをしていますが、本州の方が秋にジャガイモを植え付けていることを知りびっくりした記憶があります。そんなジャガイモ栽培スケジュールは次の通りです。

春植え(関東)秋植え(関東)春植え(北海道)
植え付け2月下旬~3月中旬8月下旬~9月中旬4月下旬~5月中旬
芽かき4月上旬~中旬9月下旬~10月上旬6月上旬~中旬
開花5月中旬~下旬11月上旬~中旬7月上旬~中旬
収穫6月上旬~7月上旬11月下旬~12月中旬7月下旬~8月下旬

初心者の方には、天候が比較的安定し、生育のしやすい春植えがおすすめ。梅雨に入る前に収穫できるのが理想です。一方、秋植えは、厳しい暑さや台風、霜などの影響を受けやすく、春植えに比べてやや難易度が上がります。まずは春植えで栽培のコツをつかんでから挑戦するのも良いでしょう。今回は、初心者でも育てやすい春植えジャガイモの栽培の流れを説明します。

菜園スペースがあることが前提となりますが、種イモ以外は農具や肥料など家庭菜園に必要とされる基本的なものばかり。難しいことを考えなくても始められます。

  • 種イモ
  • 農具(シャベル、スコップ、ジョウロなど)
  • 堆肥(植物性の保水性の優れる牛糞堆肥がおすすめ)
  • 肥料(元肥用。窒素:リン酸:カリの配分7:7:7の粉状がおすすめ)
  • 黒マルチ(寒冷地など地温を上げて栽培したい場合)

最近は袋の中で育てるジャガイモ栽培キットなどもありますが、インスタグラムなどを見ると収穫量は限定的なようです。菜園スペースがない方は、市町村のホームページで市民農園の貸し出し情報を探してみるのもよいでしょう。

種イモはホームセンターの菜園コーナーに野菜の苗が並び始めるより1カ月ほど早く取り扱いが始まります。北海道では4月に入れば取り扱いが始まるお店が多いので、欲しい品種のジャガイモは早めに手に入れるようにしましょう。人気品種はすぐになくなるので、『あのとき買っておけばよかった~』とならないよう、代表的なジャガイモの品種についてまとめました。

男爵ホクホク食感で甘い。煮崩れしやすくポテトサラダ・コロッケ向き。収穫量が多く、病気に強い。
メークインしっとり&粘り気のある食感。煮崩れしにくくシチュー・カレー向き。細長形で比較的サイズが大きい。男爵よりも病気に強い。保存性が高い。
キタアカリ甘みが強く、男爵よりさらにホクホク食感。煮崩れしやすくマッシュポテトやポタージュ向き。収穫量が多い。皮が薄く調理しやすい。
インカのめざめ強い甘み。サツマイモのような食感。サイズは小さめ。かなりおいしい品種だが中上級者向け。
デジマしっとり系で、煮崩れしにくい。収穫が早く、関東以南などの暖地向け。春植え&秋植えが可能。煮物や炒め物向き。秋にも植えられるため、長く楽しめる。連作障害に比較的強い。
トウヤ男爵よりも甘みがあり、なめらかな食感。煮崩れしやすくポテトサラダ・コロッケ向き。病気に強く育てやすい。寒冷地向け。

初心者であれば、男爵とメークインが育てやすいでしょう。どちらも、比較的病気に強く、しっかり収穫できる品種です。また、ホクホク感の強い男爵と煮崩れしにくいメークインであれば、幅広いジャガイモ料理が楽しめます。なお、北海道での栽培なら、トウヤがおすすめ!寒冷地向けに北海道で開発された品種なので安定した栽培ができます。男爵に近い品種ですが、ホクホク感と甘みはトウヤのほうが強いのが特徴。残念ながら、関東以南では取り扱いが少ない品種です。

北海道の栽培ならトウヤとメークインの組み合わせがおすすめ!

植え付け3週間前から室内の日の当たるところで種イモの芽出しをします。ときどき種イモの位置を変えることにより均等に日に当てることができます。購入した種イモに芽が出ている場合はこの工程は不要です。芽出しをせずに植えると、土の中で発芽できず種イモが腐ってしまうことがあるため、しっかり収穫するためには重要な工程となります。

芽の出た種イモ

種イモの植え付け2週間前までに畝(うね)の準備を行います。畝とは、野菜を育てるために列状に盛った土のことです。畝を作ることで水はけが良くなり、ジャガイモが腐りにくくなります。畝作りは種イモを植え付けるうえでとても重要な工程です。

  • 畝の場所を選定する(幅70~100cm。畝が複数になる場合は通路として50cmくらい離す)
  • 土を耕し堆肥すきこむ(保水性の良い植物由来の牛糞堆肥がおすすめ)
  • 畝にする一列に元肥を撒く(初心者にはバランスの良い、窒素:リン酸:カリの配分7:7:7がおすすめ。さらに収量を増やしたい場合は、リン酸・カリが多いものを選んでもOK。土になじみやすい粉状を選びましょう。)
  • 列に沿って土を盛る(高さ30~40cm)

地温を確保したい場合はこの時にマルチングを行いましょう。マルチングはビニールシートで畝を覆ってしまうことを指します。ホームセンターでは『マルチ』という名前で売られており、白・黒・透明などいろいろな種類があります。特に北海道では春に10℃を下回る日も多いため、マルチの使用有無で野菜の生育の速さが違います。中でも温度を蓄えやすい黒マルチがおすすめです。

畝の準備にはポールを立てて場所決めするとわかりやすい
黒マルチをかけたジャガイモの畝

関東地方では2月下旬~3月中旬、北海道では4月下旬~5月中旬が植え付け適期です。植え付けの手順は以下のとおり。

  1. 畝の天頂をV字型にくぼみをつける(深さは15cm)
  2. 株間30cmでV字型のくぼみに種イモを置く
  3. このとき、種イモの芽を上向きにする
  4. V字型につけたくぼみを閉じるように種イモに土をかぶせる

マルチを使用した場合は、株間30cmでマルチに穴をあけ、深さ15cmほどの位置に植え付けます。種イモは包丁などで分割して植え付けることも可能です。その際は、比較的大きめの種イモを選び、それぞれの断片に芽が残るように分けるのがポイントです。一方で、インカのめざめなどの小さめの品種は、分割せずにそのまま植え付けます。

V字のくぼみに置いた種イモ

こまめな水やりや不要です。土が乾き始めたタイミングで水やりを行いましょう。水はけが悪く多湿な状態の土では種イモや生育中のジャガイモが腐ってしまうリスクが高まります。また、ジャガイモは元肥だけで育つため追肥は不要です。

植え付け後、2~3週間で土から芽が出てきます。10cmまで成長したころで芽かきを行います。芽かきとは複数箇所で発芽した芽を間引くことで、効率よく株に栄養を運ぶことを目的として行います。芽かきを行わなくても収穫はできますが、より大きなジャガイモの収穫を目指す場合は芽かきをしましょう。芽かきを行うときは、土からでる元気な芽を残し、他の芽を抜いていきます。このとき、種イモを引き抜かないように土を手で押さえながら引き抜きましょう。

土からでたジャガイモの芽のうち元気なものを残す

土寄せは2度行います。①芽かき時、②芽かき後3週間ほどで土寄せをしましょう。畝周りの土を株元に被せることで、成長したジャガイモが土の外に出ることによる日光を原因とした緑化を防ぐ効果があります。緑化したジャガイモは食中毒を引き起こす可能性があるため、しっかり土寄せを行いジャガイモに日光が当たらないよう注意。

根元からジャガイモが顔を出して緑化することを防ぐ

関東では6月上旬~7月上旬、北海道では7月下旬~8月下旬が収穫期。白や紫に咲いていた花が2~3週間で落ち、葉っぱが茶色に枯れると収穫OK!極力晴れの続いた日に収穫を行うことで、ジャガイモの水分量が減り、長期保存をしても傷みにくくなります。葉や茎をある程度取り除き、株の根元を持ちながら手で土を払いながら掘っていきましょう。土の中にジャガイモが取り残されることもあるため、最後はスコップなども使いジャガイモを探しましょう。この時にジャガイモを傷つけないように!
収穫を終えたら、日なたにおいて乾燥させます。(1日置いただけでは緑化することはありません。)乾燥後はある程度、土を落として、風通しが良い日陰や室内の涼しい場所で保管しましょう。

葉っぱが黄緑色や茶色に変われば収穫期
収穫されたトウヤ

ジャガイモの天敵としてニジュウヤホシテントウと呼ばれる害虫がいます。ナス科の野菜に住み着き、特にジャガイモの葉っぱを好んで食べます。黄色に黒の斑点が24個ついており、つるっとした表皮のナナホシテントウよりも一回り大きい、毛におおわれたテントウムシです。肉食のテントウムシはアブラムシを食べる益虫と呼ばれますが、このニジュウヤホシテントウは草食で害虫。見つけ次第、駆除しましょう。多くの害虫は肥料の窒素成分に引き寄せられて発生するため、肥料の使い過ぎにも注意したいところ。

ニジュウヤホシテントウは別名テントウムシダマシとも呼ぶ

ジャガイモ栽培は、土の準備さえ整えれば、適度な水やりをする程度で、追肥や支柱も不要なため、手間がかからない野菜です。収穫も楽しく、土の中からゴロゴロと現れるジャガイモ掘りは、宝探しのような感覚で子供も喜びます。特に、比較的天候が安定する春植えは、初心者にも挑戦しやすい時期です。今回紹介した品種を参考にして、たくさんのジャガイモを収穫し、おいしい料理を家族と楽しんでみてはいかがでしょうか?

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