さて、前回の記事では、野菜づくりのスケジュールの立て方をご紹介しました。これでいつどんな野菜を植え付ければよいかがはっきりしましたね。じゃあ、早速植え付けていきましょう…ん?じゃあ、この畑のどこに植えればいいんだ?目の前の空いてるここでいいのか…?と、そんな声が聞こえてきましたね。今回はそんなあなたに菜園のレイアウトの作り方についてご紹介します。この記事を読めば、植え付け場所に迷って、畑の前で立ち止まることもなくなりますよ!
この記事でわかること
・菜園レイアウトを作ることで野菜の植え付け場所に迷わない
・紙に『菜園スペース⇒畝(うね)⇒野菜』の順に配置を書き出し微調整する
・畝は風向きに沿って配置する
・日当たりの悪い場所は日光が少なくても比較的育つ野菜を植える(里芋、サツマイモなど)
・一緒に栽培することで相互に成長を促進するコンパニオンプランツがある
菜園のレイアウトを紙に書き出す
栽培スケジュールでもご紹介しましたが、迷ったときはやっぱり紙とペンが一番の味方。まずは手を動かして、頭の中を整理していきましょう!大まかな手順は次の通りです。
- 菜園のスペースをイメージして、まずは大まかな枠を描く
- その枠の中に、畝(うね)として使う区画を分けて描く
- 畝ごとに、育てたい野菜の名前を書き入れる
菜園スペースや畝の配置は、土地の広さや形によってある程度決まってきますが、特に悩むのが、野菜の並べ方かもしれません。一度でピタッと決まることはあまりないので、まずは思いつくままに配置してみましょう。そこから少しずつ見直していけばOKです!次の項目では、そんなレイアウトをよりよくするためのコツをご紹介していきますね。

菜園の風向きを考えた畝のレイアウト
菜園によっては、風の吹く方向に特徴がある場所もあります。強風で背の高いトウモロコシが倒れたり、葉が大きく根が浅いカブやビーツが抜けてしまったり……風の影響を受けることって、意外と多いんですよね。だからこそ、レイアウト作りの段階で風向きを考えることが大切です。おすすめの方法は、風の流れに沿って畝を作ること。これにより、横風を受けた野菜が畝に沿ってすべて倒れるといった被害を防ぎやすくなります。また、株がしっかりしていて風に強いヤーコンなどを風上側に植えて、天然の風よけとして活用するのも効果的ですよ。風対策を考えたレイアウトは畝の配置を決めるときに行うのがいいですね!

栽培スケジュールで後作の計画がないか確認する
ここで一度確認しておきたいのが栽培スケジュールです。たとえば、ジャガイモを夏に収穫した後の畝に、別の野菜を植える計画になっていませんか?このように、ひとつの野菜を収穫したあとに別の野菜を植える「後作(あとづくり)」の計画がある場合は、それも踏まえてレイアウトを組み立てる必要があります。書き込む野菜の名前の横に、たとえば『(後作:秋ダイコン)』のように注記を入れておくと、あとから見返すときにもわかりやすくて便利です。レイアウトを春~夏、夏~秋で季節ごとに用意するのも手ですよ!
菜園の日当たりを考えた野菜の配置
野菜の生育を左右するのが『日当たり』です。レイアウトを考えるうえで特に注意したいポイントは次の2点です。
- 建物の陰になっていないか?
- 野菜が成長した後に大きな野菜の陰になってしまわないか?
『日中は日が当たるけど、夕方になると日陰になる』など、菜園の立地によって日照条件はさまざま。里芋、サツマイモ、ショウガなど比較的日陰に強い野菜を植えることで、無駄なく菜園スペースを活用することもできます。また、背の高いミニトマトの隣に背の低いカブを植えるといったように、隣接する野菜の高さにも気を配りましょう。知らず知らずのうちに日光を奪ってしまうこともあります。一方で、背は低くても収穫時期の早いジャガイモと背は高くても生育が緩やかなオクラを組み合わせて、栽培時期から互いに日陰にならない工夫もできます!ちょっとした配置の工夫でより効果的なレイアウトが見つかりますよ!

野菜の組み合わせ:コンパニオンプランツを考える
異なる野菜でも一緒に栽培することによって、互いに生育を促進し合える組み合わせがあります。こうした相性のよい野菜の組み合わせを『コンパニオンプランツ』と呼びます。例えば、トマトとバジルの組み合わせでは、乾燥に強く水やり控えめなトマトの生育初期に必要な葉の水分をバジルの蒸散作用で補う効果があります。また、インゲンの根にできる根粒菌は土を改良してトウモロコシの成長を促進させる効果も期待できます。逆にネギ類はマメ類の根粒菌の働きを邪魔して生育を阻害するような組み合わせもあるため、注意が必要です。菜園のレイアウトを決める際にこの点も考慮できればベストですね!代表的な組み合わせと効果を紹介します。
野菜① | 野菜② | 効果 | 相性 |
トマト | バジル | 水分量の相互補完、バジルの強い香りによる防虫効果 | ◎ |
インゲン | トウモロコシ | インゲンの根粒菌による土壌改良、トウモロコシがインゲンの支柱になる | ◎ |
イチゴ | ニンニク | ニンニクの強い香りで防虫効果あり、ニンニクが直根性でイチゴに干渉しない | ◎ |
カブ | ニンジン | 互いに直根性の野菜のために干渉しない、養分を取り合う可能性あり | ○ |
ダイコン | ラディッシュ | ダイコンの間にラディッシュを植えることでスペースを最大限使える、養分を取り合う可能性あり | ○ |
ネギ類 | マメ類 | 根粒菌の働きをネギ類が阻害する | × |
トマト | ジャガイモ | 共にナス科で害虫が同じ、病気リスクが倍増 | × |
まとめ
前回の「栽培スケジュールの作り方」に続き、今回は菜園のレイアウトについてご紹介しました。
レイアウトを決めるためのステップを、あらためて整理するとこんな感じです。
①菜園スペース⇒畝⇒野菜の順にレイアウトを書き出す
② 土地の風向きを考慮して、畝の向きを調整する
③ 日当たりやコンパニオンプランツを考えて、野菜の配置を決める
私はいつも、レイアウトを2~3回ラフに書き直して、大体の形が見えてきたら最後にカラーペンで仕上げています。そうすると、とってもポップで楽しいレイアウトができて、計画段階からウキウキなんです!せっかくの家庭菜園ですからね。計画も思いきり楽しんでいきましょう!あなたが作った菜園で、野菜を育てて収穫している姿、きっともう頭の中に浮かんでいるはずです。次回は、必要な資材の準備についてご紹介しますので、お楽しみに!
